2008/10/20 [01:16] (Mon)
【雲雀恭弥】夢
初めは、ボスだと思っていた。
けれどそれは違って、鍵を壊して扉を開けたのは、真っ黒な男の人。
鎖とは違った、金属のような匂いが鼻を突いた。これは、血の匂い。
ああやっと、終わらせてくれる人が来た。
昔ボスから聞いた、黒衣の死神というのはきっとこの人。
――終わらせて
声は出ないと分かっていたけれど、そう紡がずにはいられなかった。
けれど。
「――おいで」
光に浮かぶ影が呼んだ。
終わらせてほしいと願っていた筈なのに、何故か体は立ち上がって。
体に力が入らない。何日も食べていないのだから当たり前か。
眩しさに睨み付けるような格好になると、影はネクタイらしきものを解きながら近寄ってきた。視界が黒で埋められて、慣れた闇が視力を与えてくれた。
引き寄せられた手は細かったけれど力強い。
見上げた顔は、今まで見てきた人間よりも、ずっとずっと綺麗な顔をした男だった。
黒い瞳に黒い髪。黒いスーツからは血の匂いが、した。
「目、閉じて」
言われた通りに目を閉じれば、布で両目を覆われる。
彼は何がしたいのか。けれどそれはどうでも良かった。終わらせてくれると思っていたから。
「いい子だね、出るよ」
――何故。
彼が反応してくれたような気がしたけれど、気の所為だった。
終わらせてくれるのではないのか。ならば彼は自分をどうするつもりなのだろう。
彼らのように自分を抱くでもなく、此処から出ると言う彼が理解できなかった。
「動かないで」
元より動く気もなければ動けない。そろそろ立っているのも辛いのに。
耳元で鎖が擦れる音の後、とても大きな音がした。そして首が軽くなり、部屋の隅で再び大きな音がする。
鎖を、切ったのか。
「上、脱いでくれる? 邪魔」
何で邪魔なのかは分からなかったが、言われた通りに上を脱ぐ。
倒れそうになったのを細く力強い腕が支えてくれた。
薄い着物一枚になれば、無言のまま抱き上げられた。分からない、何がしたいのか。
そして彼は何も言わぬまま、部屋の外へ歩き出したのだった。
++++++++++
結局、続きました。
下の場面の主人公視点。
多分、まだ続く、ような……
初めは、ボスだと思っていた。
けれどそれは違って、鍵を壊して扉を開けたのは、真っ黒な男の人。
鎖とは違った、金属のような匂いが鼻を突いた。これは、血の匂い。
ああやっと、終わらせてくれる人が来た。
昔ボスから聞いた、黒衣の死神というのはきっとこの人。
――終わらせて
声は出ないと分かっていたけれど、そう紡がずにはいられなかった。
けれど。
「――おいで」
光に浮かぶ影が呼んだ。
終わらせてほしいと願っていた筈なのに、何故か体は立ち上がって。
体に力が入らない。何日も食べていないのだから当たり前か。
眩しさに睨み付けるような格好になると、影はネクタイらしきものを解きながら近寄ってきた。視界が黒で埋められて、慣れた闇が視力を与えてくれた。
引き寄せられた手は細かったけれど力強い。
見上げた顔は、今まで見てきた人間よりも、ずっとずっと綺麗な顔をした男だった。
黒い瞳に黒い髪。黒いスーツからは血の匂いが、した。
「目、閉じて」
言われた通りに目を閉じれば、布で両目を覆われる。
彼は何がしたいのか。けれどそれはどうでも良かった。終わらせてくれると思っていたから。
「いい子だね、出るよ」
――何故。
彼が反応してくれたような気がしたけれど、気の所為だった。
終わらせてくれるのではないのか。ならば彼は自分をどうするつもりなのだろう。
彼らのように自分を抱くでもなく、此処から出ると言う彼が理解できなかった。
「動かないで」
元より動く気もなければ動けない。そろそろ立っているのも辛いのに。
耳元で鎖が擦れる音の後、とても大きな音がした。そして首が軽くなり、部屋の隅で再び大きな音がする。
鎖を、切ったのか。
「上、脱いでくれる? 邪魔」
何で邪魔なのかは分からなかったが、言われた通りに上を脱ぐ。
倒れそうになったのを細く力強い腕が支えてくれた。
薄い着物一枚になれば、無言のまま抱き上げられた。分からない、何がしたいのか。
そして彼は何も言わぬまま、部屋の外へ歩き出したのだった。
++++++++++
結局、続きました。
下の場面の主人公視点。
多分、まだ続く、ような……
PR
2008/10/17 [01:19] (Fri)
【雲雀恭弥】夢
止まない銃声、鼻を突く鉄臭、それらを遠くに引き離しながら、雲雀は通路を進んでいた。
両手に握り締めたトンファーは鮮血を滴らせ、返り血を吸ったスーツは些か重く感じる。
たまたま見つけた隠し通路は思ったよりも長く、セキュリティもしっかりしていた。
何を守っているのだろう、と興味が湧いた。
歩を進めていけば、突き当たりに頑丈に幾つもの南京錠がかけられた扉が現れる。雲雀は迷う事なくトンファーを振り上げた。
ガキンッ
鍵は全て砕かれて意味をなくし、このオートマの時代に珍しい重厚な引き戸に手を掛ける。
ぎぎ、と耳障りな音がして扉が開く。
まるで夜闇のような部屋の中に、紫電の光が二つ、浮かんでいた。
「――?」
よく見れば、それは人だった。
暗くて詳しくは分からないがそれは中・高生くらいの少女で、光だと感じた紫電は彼女の瞳らしい。
真っすぐに無機質な光を向けてくる彼女の肌はこの暗闇の中でも分かる程に白く、それは病的といってもいいかもしれない。青白い顔を縁取るのは長くさらりとした黒髪で、赤と思われる着物の上を流れている。
折れてしまいそうな首には、滑稽な程にいかつい金属性の首輪が咬まされていて、其処から伸びる鎖は部屋の隅の闇に吸い込まれていた。
彼女は微動だにしない。
その唇が、微かに何かを紡いだ気がした。
「――おいで」
紫電が瞠られる。
暫しの間の後、じゃら、と耳に触る金属音が部屋に響いた。
ふらり、とよろめきながら立ち上がった彼女が、眉根を寄せている事に気が付く。そうか、眩しいのだ。
雲雀はネクタイを解きながらふらつく彼女に歩み寄り、首後ろに手を回して引き寄せた。
小さい。そして細く、雲雀の腕の中にすっぽりと収まってしまう。
「目、閉じて」
言えば彼女は怯えも恐怖もなくゆっくりと紫苑を瞼の後ろに隠した。
彼女はただ静かに其処に在って、何の脈絡もなくネクタイで瞼を覆っても反応はなく、まるでマネキンに目隠しをしているような感覚。
返り血を浴びて少し鉄臭いかもしれないが、外の光で失明するよりはいいだろう。
しゅ、という衣擦れの音と共に触れた黒髪は、絹のように滑らかで柔らかかった。
「いい子だね。出るよ」
何故、と問われたような気がして彼女を見たが、彼女が声を発した様子はない。
気の所為かと空耳を忘却の闇に放り込み、太い鎖に手を掛ける。
「動かないで」
その白い肌を汚すのも一興かとは思うが、勿体ない。
なるべく根元から断ち切ろうと体に近い場所を持ち、トンファーを振り下ろした。
砕かれて役目を果たせなくなった方を部屋の隅めがけて放る。かなり大きな音がしたが、それでも彼女は微動だにしない。
自分がどうなるかという事に興味がないのか、それとも諦観してなるようになれと開き直っているのか。
この日本人形よりも艶やかな少女に、咬み殺したいという衝動以上の興味が湧いた。
「上、脱いでくれる? 邪魔」
女物の着物は長くて重い。彼女は言われた通り着物を脱ぎ――倒れそうになるので支えてはやった――うちぎ姿になった。
妙に手慣れていた理由に興味はない。手を離せば倒れてしまいそうな少女を合図もなく抱き上げた。
軽い。細身だという事を抜きにしても軽すぎる気がしたが、関係ない事だと思考を追いやって踵を返した。
+++++++++
思った以上に長く……;
続く、ような、続かない、ような……
止まない銃声、鼻を突く鉄臭、それらを遠くに引き離しながら、雲雀は通路を進んでいた。
両手に握り締めたトンファーは鮮血を滴らせ、返り血を吸ったスーツは些か重く感じる。
たまたま見つけた隠し通路は思ったよりも長く、セキュリティもしっかりしていた。
何を守っているのだろう、と興味が湧いた。
歩を進めていけば、突き当たりに頑丈に幾つもの南京錠がかけられた扉が現れる。雲雀は迷う事なくトンファーを振り上げた。
ガキンッ
鍵は全て砕かれて意味をなくし、このオートマの時代に珍しい重厚な引き戸に手を掛ける。
ぎぎ、と耳障りな音がして扉が開く。
まるで夜闇のような部屋の中に、紫電の光が二つ、浮かんでいた。
「――?」
よく見れば、それは人だった。
暗くて詳しくは分からないがそれは中・高生くらいの少女で、光だと感じた紫電は彼女の瞳らしい。
真っすぐに無機質な光を向けてくる彼女の肌はこの暗闇の中でも分かる程に白く、それは病的といってもいいかもしれない。青白い顔を縁取るのは長くさらりとした黒髪で、赤と思われる着物の上を流れている。
折れてしまいそうな首には、滑稽な程にいかつい金属性の首輪が咬まされていて、其処から伸びる鎖は部屋の隅の闇に吸い込まれていた。
彼女は微動だにしない。
その唇が、微かに何かを紡いだ気がした。
「――おいで」
紫電が瞠られる。
暫しの間の後、じゃら、と耳に触る金属音が部屋に響いた。
ふらり、とよろめきながら立ち上がった彼女が、眉根を寄せている事に気が付く。そうか、眩しいのだ。
雲雀はネクタイを解きながらふらつく彼女に歩み寄り、首後ろに手を回して引き寄せた。
小さい。そして細く、雲雀の腕の中にすっぽりと収まってしまう。
「目、閉じて」
言えば彼女は怯えも恐怖もなくゆっくりと紫苑を瞼の後ろに隠した。
彼女はただ静かに其処に在って、何の脈絡もなくネクタイで瞼を覆っても反応はなく、まるでマネキンに目隠しをしているような感覚。
返り血を浴びて少し鉄臭いかもしれないが、外の光で失明するよりはいいだろう。
しゅ、という衣擦れの音と共に触れた黒髪は、絹のように滑らかで柔らかかった。
「いい子だね。出るよ」
何故、と問われたような気がして彼女を見たが、彼女が声を発した様子はない。
気の所為かと空耳を忘却の闇に放り込み、太い鎖に手を掛ける。
「動かないで」
その白い肌を汚すのも一興かとは思うが、勿体ない。
なるべく根元から断ち切ろうと体に近い場所を持ち、トンファーを振り下ろした。
砕かれて役目を果たせなくなった方を部屋の隅めがけて放る。かなり大きな音がしたが、それでも彼女は微動だにしない。
自分がどうなるかという事に興味がないのか、それとも諦観してなるようになれと開き直っているのか。
この日本人形よりも艶やかな少女に、咬み殺したいという衝動以上の興味が湧いた。
「上、脱いでくれる? 邪魔」
女物の着物は長くて重い。彼女は言われた通り着物を脱ぎ――倒れそうになるので支えてはやった――うちぎ姿になった。
妙に手慣れていた理由に興味はない。手を離せば倒れてしまいそうな少女を合図もなく抱き上げた。
軽い。細身だという事を抜きにしても軽すぎる気がしたが、関係ない事だと思考を追いやって踵を返した。
+++++++++
思った以上に長く……;
続く、ような、続かない、ような……
2008/10/15 [01:12] (Wed)
【雲雀恭弥】夢
気付いたら、そこにいた。
自由も光も奪われて、冷たい鎖が巻き付いた。
薄暗い、殆ど光のない闇のような部屋にいて、彼らが来れば体を開いて。
苦痛に感じた事はない。ただ、不快なだけ。
熱をやり過ごしてしまえばなんてことはない。
毎日毎日、闇に染まった部屋でただ時が過ぎるのを待っていた。
生きているようで、死んでいるようで、やはり生きている。
此処から出たいと思った事はない。光を見たいと思った事もない。
ただ、終わりたかった。
そこへ、ある日突然、その男は現れたのだ。
+++++++
こんなんでも雲雀夢。
次回雲雀さんです。
気付いたら、そこにいた。
自由も光も奪われて、冷たい鎖が巻き付いた。
薄暗い、殆ど光のない闇のような部屋にいて、彼らが来れば体を開いて。
苦痛に感じた事はない。ただ、不快なだけ。
熱をやり過ごしてしまえばなんてことはない。
毎日毎日、闇に染まった部屋でただ時が過ぎるのを待っていた。
生きているようで、死んでいるようで、やはり生きている。
此処から出たいと思った事はない。光を見たいと思った事もない。
ただ、終わりたかった。
そこへ、ある日突然、その男は現れたのだ。
+++++++
こんなんでも雲雀夢。
次回雲雀さんです。
2008/10/08 [17:47] (Wed)
【雲雀恭弥】(ソラウタ)
※スパナと雫
コミックス派の方にはネタバレになります。
気にしない方、本誌派の方は続きを開いてご覧下さい。
※スパナと雫
コミックス派の方にはネタバレになります。
気にしない方、本誌派の方は続きを開いてご覧下さい。
2008/10/02 [18:58] (Thu)
【ミルフィ】
メロウ(黒猫シリーズ)と雫(ソラウタ)を一緒に書いてみた。
完全に自己満足なので隠し。
かなり不親切。
初めギャグテイストで後半シリアス。
メロウ(黒猫シリーズ)と雫(ソラウタ)を一緒に書いてみた。
完全に自己満足なので隠し。
かなり不親切。
初めギャグテイストで後半シリアス。
プロフィール
HN:
snow
性別:
女性
職業:
一応学生
趣味:
サイトめぐり、創作
自己紹介:
In the blue sky の管理人の片割れ。
頭の中は常に18と69と27と雫(夢主)
18と69は攻めと主張。
上二名の27以外(夢は別)のカップリングは受け付けないという特異体質
上二名以外は割と雑食
コメントありましたらお気軽にどうぞ
頭の中は常に18と69と27と雫(夢主)
18と69は攻めと主張。
上二名の27以外(夢は別)のカップリングは受け付けないという特異体質
上二名以外は割と雑食
コメントありましたらお気軽にどうぞ
ブログ内検索
最新コメント
アクセス解析